紀元前3世紀〜紀元前2世紀の古代エトルリア時代に作られた、
とても小さな珍しいスカラベです。
このスカラベのデザインはエジプトよりフェニキアへ、フェニキアからエトルリアへ伝わってきたものです。
さらにギリシャも紀元前5世紀〜紀元前6世紀にスカラベのデザインを用いています。
今日の私達にとって古代エトルリア人はとてもミステリアスな存在です、
何故なら言語は現在でも解明されておらず、
彼らがどこからやってきたのか起源もはっきりわかっていないからです。
このスカラベの裏側にはエトルリア芸術を感じる事が出来る
空想上の動物が彫り込まれているので、見てみましょう。
(古いのはインタリオのみで、
ゴールドリングは古代風のスイベルリングを職人に依頼して作らせており
くるくる回転するようになっている作りです。
リング加工前のお写真を掲載してご説明をいたします。)
スカラベの裏面です。この犬のような生き物は一体なんでしょう?
彫りがよくわかる写真を次に掲載しています。
この動物は幻獣キメラです。
幻獣キメラはライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つとされている幻獣です。
丸い点が沢山使われた彫刻スタイルはグロボロと呼ばれていて紀元前3世紀〜紀元前2世紀の間の様式で、
ざっくりとした彫りで勢いがあり、
この作品は独特のグロボロ様式などに当時のスタイルを見る事ができるのでとても貴重な作品なのです。
粘度に押すと彫りがはっきりわかりますね。
数千年の時を経て古代人の力を感じます。
このスカラベには獅子の頭の他に羊の頭も彫られています、
古代エトルリアの美術作品でアレッツォのキメラと呼ばれる素晴らしいキメラの青銅像がありますので、
見比べてみましょう。
アレッツォのキメラ、現存するキメラで一番美しいとされている古代エトルリア美術の銅像です。
グロボロスタイルのスカラベと同じデザインであることがわかります。
羊の頭の部分の表現が同じであるところなど、
このスカラベとのリンクが本当に素晴らしいと思います。
このスカラベの魅力はモチーフの面白さだけではありません。
スカラベには通常はコーネリアンが使われる事が多いですが、
このスカラベにはアイアゲートと呼ばれるスカラベには大変珍しい石が使われています、
アイアゲートは模様が目のようにみえる事から魔除けの効果もあるとされている石です。
スカラベに穴が開いているのは回転式のリングとして使われていたからです。
回転式リング、このリングは紀元前3世紀のリングで全てオリジナルのものです。
このリングのスタイルを真似て古代風リングに仕上げております。