1798年〜1809年 Guiseppe Maria Bonzanigo ジュゼッペ マリア ボンザニゴ 作 木製 超細密彫 ピアス
お客様からお預かりした素晴らしい作品をご紹介致します。
この極限まで繊細な木彫りのピアスは、Guiseppe Maria Bonzanigo (ジュゼッペ マリア ボンザニゴ)の作品です。
ジュゼッペ・マリア・ボンザニゴ (1745-1820年) は、17世紀半ばからアスティで作品を制作していたベリンゾナの彫刻師達の中で最も名高い職人でした。
ジュゼッペ・マリアは1775年に、木製装飾品及び家具職人として制作を始め、1787年にはサルデーニャ王国のヴィットーリオ・アメーデオ3世の為の木彫刻師としての専売特許を与えられています。
1780年代にはボンザニゴは、サヴォイア王家の邸宅制作にかかわり、インテリア建築に直接携わりを持ちました。
ボンザニゴによる微小な彫刻の製作は彼に非常に高い名声をもたらし、彼の彫刻家としての名声は、ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌからも製作を依頼されるほどに高まっていたのです。
、、僅か24mm×12mmの空間に、木製の超細密な彫刻作品がガラスのカバーで覆われて静かにセットされています。18世紀は飛び抜けて細密な彫刻作品 が作られた特別な年代です。この貴重なピアスも、小さくて細かな物を彫刻する人間の能力の限界に挑んだ作品の一つです。その驚くべき技を是非ご覧下さい。

二羽の鳩は一生を共にする事から、愛を意味するモチーフです。
鳩一羽の大きさは約4mmほどの小ささです、この可愛らしい鳩の作りは平面ではありません、立体的な造形で出来ており、羽に至るまで非常に細かな彫刻が施 されているのです!鳩の周囲を飾る植物の細かさも尋常ではなく、細い茎は人間の髪の毛と同じほどの細さです、その茎にごく小さく整えられた花や葉が添えら れていて、パーツを用意するだけでも大変な手間と労力、そして小さな造形を作り出す高い技術が必要だったのです。
いわゆる 木彫り と言ってしまうにはあまりにも繊細な木製の超細密彫りの作品です。

小さな鳩のくちばしが触れそうでふれないギリギリの距離を保っているところにも、こだわりと愛らしさを感じます。

くちばし部分拡大。

花束の造形も、ほんの僅かな力の加減で折れてしまうような繊細さです。
花一つの大きさは僅か1mm、葉は1mm以下です。これらの極小のパーツが向きに工夫を施しながら設置されています。茎もぺたっとつけられているのではなく、立体感があるように隙間をあけて設置されています。この極めて繊細で難しい仕事のすべては美しく見せる為、、、、。
職人の物作りへ情熱とプライドを強く強く感じます。

斜め横からの写真を見ると、より立体感を感じて頂けると思います。
木製の超細密彫りの作品として極めてコンディションは良いです、一カ所だけ3mmほどの茎が花と一緒に折れてしまっていますが、これは経てきた年月と細密 な仕事を考えれば普通の事です。数百年を経てダメージがあるのはこの部分だけなので、これは衝撃で出来たダメージではなく、おそらく、この部分だけ接着が 弱かったのだと思います。

部分拡大。

立体的な作りなので、いろいろと角度を変えて鑑賞する楽しみがあります。
見れば見るほどに、驚かされる繊細な仕事です。
このような物が作られ、評価されていた事を考えると、現代とは時間の流れ方も何もかもが違っていた時代だった事が分かります。

もう片方も愛のモチーフが選ばれています。
愛情を意味するハートには情熱の炎が燃え上がり、ハートの下にはキューピッドの弓と矢筒が設置されています。
愛のモチーフを耳に下げた女性は、魅力的に愛らしく写ったことでしょう。

斜め横。

愛情の炎が燃えているハートが二つ重なっているのが可愛いですね。
ハートが設置された台座の作りも、美しいカーブを描いており、とても繊細です。

矢筒の中には矢が二本入っていますが、驚くべき事にこの部分はパーツごとには作られておらず、全て一体になっています。まさに驚異の細かさです。

矢筒を花輪が囲んでありま すが、この部分に特に職人のプライドとこだわりを強く感じます、、、ここが職人の最大の見せ場です。まず、髪の毛程の太さの茎に1mmの花を向きを変えて 10個つけています、そして、わざわざ矢筒をくるりと囲ませているのです、そして、正面から見ると、9個の花しか見えませんが、10個目の花はなんと、横 から見るとわかりますが、矢筒の裏にセットされているではりませんか!これは、、、相当大変だった筈です!極細の花輪の中に矢筒を通す作業、少し力加減を 間違ったら必ず茎は折れますから、完成させた集中力の強さも凄まじかった事でしょう。

横から見るとさらに立体感を感じて頂けると思います。

矢筒を花輪に通しています、10個目の花が少しだけ矢筒の下見えると思います。

花輪に矢筒が通っているのがはっきりわかります。

木製の超細密彫はドーム型のガラスでカバーされています。

そして、このピアスは当時のオリジナルのシステムを保っているとても珍しい作品なのです。

裏面。

この小さな丸い輪、これは当時の貴婦人のカツラとピアスをリボンで通す為の穴です。セーフティーの役目を果たしていました。

古いホールマーク、小さな鳥の頭の刻印が打ち込まれています。
1798年〜1809年の作です。

耳に下げるととても愛らしいピアスです。
愛のモチーフのピアスは、これを身につける女性を愛らしく、魅力的に見せた事でしょう。

嗅ぎタバコ入れ
GIUSEPPE MARIA BONZANIGO作 1795年