エスクラバージュ ネックレス 18世紀
18世紀後期の大変貴重な 美術館級のネックレスです。このネックレスのデザインはエスクラバージュと呼ばれ、通常、結婚の際に新郎から新婦へと贈られる贈り物として、フランスのパ リ、ブレス、オーベルニュ、ノルマンディーなどに18世紀前後に広っていったものですが、結婚以外のジュエリーの中のデザインにもこのスタイルが見られま す。
おそらくこのネックレスはこのスタイルから、ロベスピエールによる恐怖政治後、1795年から1800年の間のディレクトワール時代にルイ16世スタイルを忍んで作られた作品だと思います。
エスクラバージュは通常3本の長さの違うチェーンを装飾用のパーツで留めたデザインが多いです、このネックレスは4つの美しいエナメルのメインパーツの他 にもチェーン一つ一つに細かくエナメルが施されています。エスクラバージュネックレスは重量が軽い作品が多く、このネックレスも軽やかでパーツがしなやか に首回りにそう繊細なデザインです。
こうして写真で見ると、豪華なデザインで身に着けるのが難しいと感じられるかもしれませんが、実際に身に着けると淡い色合いと軽やかな作りがとても繊細で、実際に首に提げるとても愛らしい雰囲気である事に気が付きます。
メインパーツのエナメル。
このエナメルのネックレスには4人の女性が美しく繊細なエナメルで描かれています、彼女たちは実在の女性ではなくおそらくルイ16世スタイルで作成された女性像でしょ
鎖骨の中心部分を飾るパーツ、3本の鎖のパーツがゆったりと長さとデザインを変えて留められています。
読書をする女性が描かれています。
左側のパーツ。
愛らしい若い女性が描かれています。
右側のパーツ。
花の装飾の明るい色のドレスを身に纏い、羽飾りをつけた女性が描かれています。
クラスプ付近の薄紫のエナメル。
クラスプ部分。
このネックレスのスタイルは本来はリボンで後ろを結んで着用していたはずですが、このブルーエナメルのクラスプにナポレオン三世時代に付け替えられたものだと思います。
クラスプ裏面。
ネックレス裏面。
裏面拡大。
総エナメルの実に素晴らしい特別な作品です。歴史的資料価値、美術的価値が十分にあり見つけようと思っても見つける事は難しい作品でしょう。このような特別に秀でた作品を見た時は特に、この仕事をしていて良かったと思います。
繊細で柔らかなパーツが首にそう作りです。
このネックレスには侯爵家のマークがついた皮製のケースがついていますが、その箱はオリジナルの箱ではなく後の時代にこのネックレス似合わせて作成されたものです。箱の写真は後日掲載します。