楽器 Biniou ブローチ
一目で目を引くような個性 的で可愛らしいデザインのブローチです。アンティークジュエリーには完璧に特別にオーダーで作られたんだろうなと思えるものがあって、そういうものは注文 主の細かなこだわりが感じられるのが最大の魅力なのですが、このブローチはまさにその典型といえるような作品です。しかも独特の形の大粒の照りの良いバ ロックパールが使われています。笛のような物がついているので楽器のようですが、一見すると何をモチーフにしたのかよくわかりませんね。次のページでこれ が一体何のモチーフなのかご紹介致します^^
このブローチはビニューと 呼ばれるブルターニュのバグパイプをモチーフにしたものでした^^。袋状のパーツに笛から空気を袋に送り込んだりして音を出す楽器です。これはおそらくビ ニューを演奏する趣味をもった貴族がオーダーしたのか、ビニューを演奏する趣味がある貴族にプレゼントする為にオーダーしたのか、
あとは優れたビニュー奏者に貴族が贈り物として作らせたか、いろいろな可能性がありますがそういった事を想像するのも楽しいものです。ブローチのバロック パールは楽器の袋部分に見立てていたんですね、さすが特注品ならではのユニークなアイデアです。そして、このような使い方のバロックパールの面白さはルネ サンス期に既に花開いています。
これはイギリスのヴィクト リア&アルバートミュージアムに所蔵されているカニングジュエルと呼ばれるジュエリーです。こちらはルネサンスではなく19世紀の作品になります。大型の バロックパールがこの男性の胸の部分に見立てて使われているのがお分かり頂けますか?バロックパールの世界に一つしかない歪な形と作り手のイマジネーショ ンが生んだジュエリー史上に残る作品です。バロックパールが男性の筋肉のように見えますね。バロックパールは南洋で産出されるクロヘキガキなどのものが最 高級とされています。
バロックパールは歪ですが貝の内側から剥がした真珠ではないので裏からみても奇麗なんです。
こちらはルネサンス、1590年頃に作成されたジュエリーでエルミタージュ美術館所蔵の白鳥のペンダントです。こんもりと丸いバロックパールをふっくらとした白鳥のおなかに見立てています。
かなり大型のとても個性的 な形のバロックパールを使ったオブジェ、ドレスデン美術館所蔵です。首もとで別々のバロックパールをつなぎ合わせているようですが、もうラクダにしか見え ません。他にもインターネットで検索するといろいろな形の大型のバロックパールを使ったジュエリーがご覧いただけると思います。次ページからビニューブ ローチへ戻ります^^
バロックパールを楽器に見立てて作ったジュエリーですから夢がありますね、世界に一つしかない形の真珠を使ってオーダーで作ったジュエリー、アンティークならではの楽しさを感じて頂けると思います。
バロックパールの個性的な形をご覧下さい。
楽器の細部まできちんと表現しようとした作りですが、このボタンのような細工がビニューのどの部分になるのか、ちょっとわかりませんでした。
ピンがダブルでついています。最初は使いにくいと思いますがなれてしまえば大丈夫ですし、歪なバロックパールが安定して留められるようになっています。
ブローチピンを外したところ。
スカーフに着けてみました、コロンとした形がとってもかわいらしいですね。身につけていたら、可愛い!と褒められるようなブローチだと思います。これは似た物を探そうと思ってもなかなか探せないジュエリーでしょう。