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18世紀の繊細なアイボリー細工の魅惑的で極めて珍しいリングです。

若い女性が古代の衣装に身を包み、木々の立ち並ぶ中にある古代寺院の黄金の祭壇の上に、花々を捧げています。
古代の寺院の上部には、ほのかな金の装飾が添えられています。

このような作品を見ると、人間の底知れぬ可能性を感じて感動します。
「細かな物を彫る」という力においては人間が持ちうるであろう能力の限界を表しているのが、この、「超細密彫り・マイクロカーブドアイボリー」と呼ばれる 作品群です。この人間離れした細工は18世紀にのみ作られ、極めて高い技術をもったごく一部の職人のみが作ることが出来た作品です。このようなカーブドアイボリー作品は当時は大変に高価な物でした。

そして、通常、このようなカーブドアイボリーは箱の上に装飾としてセットされている場合が圧倒的に多いので、リングに仕立てられているのは元から極めて稀になり、現在まで残っていることも少ないです、その希少性からリングのカーブドアイボリーは箱にセットされているものよりもずっと高額になります。



アイボリーを極限まで繊細に小さく彫り込み、絵のような彫刻です。
書かれている文字はドイツ語で　Zum Anden Ken　、これは、思い出の中に、、というニュアンスです。

ドイツ語で記されていますが、これがすぐにドイツのアンティークジュエリー、
ということになるかというと、そうではなく、当時フランスの流行は最先端であった為、
ドイツの貴族がフランスでマイクロカーブドアイボリーの指輪を注文した可能性があるからです。

拡大してみると、永遠に静寂の世界がガラスの中に閉じ込められたような、
儚さ、繊細さを感じます、眺めていると惹き込まれそうな不思議な魅力を持った独特の作品です。



カーブドアイボリーの背景はブルーギロッシュエナメルで、角度によって
鮮やかなロイヤルブルーエナメルの輝きが浮かび上がります。
コンディションはガラス部分やセッティングに極めて僅かな傷があるのみで
大変良いコンディションです。



そして、このリングのもう一つの素晴しいところ、
それはべゼルもシャンクも全てオリジナルの18世紀の作品であるということです。
18世紀の作品は古く希少な為、オリジナルで残っている事は殆どなく
通常は、別々のべゼルとシャンクを一つにしていることが多いのです。

この指輪はシャンクもオリジナルで、さらに、美しい彫金が施されてとても綺麗なリングです。



裏面は指当たりのよく湾曲した作りです。





動画はこちらからご覧になれます。



18世紀の同じタイプのカーブドアイボリーのリングです。
 

参考) 『The art of the jeweler, Catalogue of the Hull Grundy gift to the British Museum』(1984年)

190,192 / M・デローチェ『France The ring throughout history』(1929年)



デローチェはこの種の作品を、ボンザニーゴ・ジュゼッペ・マリア(1745-1820)とその教え子らの作と考えています。