18世紀　ガーネット　紋章リング　wachsam und schnell　「警戒せよ、だが迅速に」

18世紀のドイツの貴族が身につけていた紋章のリングです、紋章に彫り込まれている文字からドイツの作品だということがわかります。
美しいガーネットに大変細かな紋章が繊細に彫り込まれており、素晴らしいクオリティの彫刻に、
惚れ惚れします。固いガーネットに、よくぞここまで、、、と思うような彫りです。
繊細で乱れのない紋章を見ていると、まるで小さな絵が石の中にきっちり納められ、最初から定められていたのかのように、あるべきものがあるべきところにあるような清々しさを感じます。
指にはめて紋章を眺めていても、人の手で彫ったということがなかなか信じられないような仕事です。

この紋章はバランスから、中世の古い紋章のスタイルを持っていることがわかります。
紋章の盾のような部分が若干左に傾いていますが、これは中世の紋章にみられるスタイルです。

中世の紋章例です。
盾の部分が斜めになっているのがわかると思います。
ちなみに盾の左上に丸い空間がありますが、これは槍を通す為の空間です。
そういうことが分かると面白いですよね。

他の紋章例。
紋章は綺麗なデザインが多いので、見ていてもとても楽しめます。

紋章が光を反射すると、何が彫られているかがはっきり分かり、とても神秘的な瞬間でもあります。

紋章の中央のヘルメット部分です、その上はクレストと呼ばれている部分です、この紋章にも何かが彫ってあるようです、、、、

この紋章のクレストの上には魚を持った人物が彫られており、とても珍しい装飾です、どういった意味があるのかとても興味深いですが、この紋章の貴族の家にとって大切なシンボルだったのです。

盾の下には、モットーと呼ばれる、その家に代々伝わる言葉が記されておりますが、
この紋章に刻まれているのは washam und schnell です。
これは警戒せよ、だが迅速にというような意味です。

盾が中央で二つに別れているのは、この紋章が結婚により二つの紋章が一つになったことを示しています。
左側に彫られているのは百合の紋章、左側は翼です。