1790年 カメオリング 「レダと白鳥」Guiseppe Maria Bonzanigo?
他に類の無い非常に珍しいリングは、黒と白のモノトーンの美しい装飾がオニキスのカメオのように見えますが、実はそうではなく、白い部分がアイボリーのカメオで、黒い部分は黒い木または着色された木を使うという珍しい構造です。この構造に加えて、カメオ彫刻の類い稀に繊細な彫りと表現力から、ルイ16世時代に活躍した彫刻家、Guiseppe Maria Bonzanigo (ジュゼッペ マリア ボンザニゴ)作と考えられます。ジュゼッペ マリア はアイボリーの他に木材を使って極限まで繊細な彫刻を施しており、ギャラリーソレイユではジュゼッペ マリア作のピアスもご紹介しております。このピアスも黒い木の上に、木製の彫刻をセットした同じ構造です。興味のある方はこちらもあわせてご覧下さい。
選ばれているモチーフのギリシャ神話「レダと白鳥」は、神々の王ゼウスが白鳥に変身し、スパルタ王テュンダレオースの妻レダに愛を伝えにくるという官能的で美しい神話です。
レダと白鳥は古代ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』によってよく知られることになり、後の芸術家達へもインスピレーションを与え、特にイタリアルネサンスでは数々の巨匠達が「レダと白鳥」に魅せられ、様々な解釈の「レダと白鳥」の作品が残されています。限りある生を後悔のないように楽しむ、という考えが生まれたルネサンスの時代によくあったモチーフと言えるでしょう。
カメオ部分を守るために膨らみをおびた硝子がセットされた八角形のべゼルは、椰子を思わせる植物文様の装飾が施された大変美しいシャンクにセットされています。
白鳥の羽毛の表現の柔らかさ、全体の構図の繊細さ、優れた感性によって作られたことがわかる、とても洗練されたカメオ作品です。
正面。
斜め横。
シャンクには椰子を思わせる装飾。
反対側。
硝子のカバーがふっくらと盛り上がっていることがよくわかります。
薄いカメオながら、立体感のある表現です。
サイズ変更可能です。
裏面。
1円玉と比較すると大きさの感覚を掴んで頂けると思います。