イギリス国王アルバートエドワードとデンマーク王女アレクサンドラ　結婚記念クラバットピン

うっとりするような素晴らしい細工のクラバットピンです。
ルビーもサファイヤも鮮やかな美しい色で、ダイヤモンドとルビーが細かく繊細にちりばめられています。
レッドエナメルで表現されたテューダー朝のクラウンを頭上に二つのAが寄り添うようにセットされた装飾です。

このとても美しいクラバットピンは1863年に制作されたもの。

しかしこのクラバットピンは、1863年から約400年もさかのぼった15世紀に生きたこの人物、テューダー朝初代イングランド王ヘンリー7世がいなければ存在しないクラバットピンなのです。ですが、もちろん、このヘンリー7世はこのクラバットピンが1863年に作成されることなど知ることもなく生を終えています。

では一体、ヘンリー7世とこのクラバットピンの間にどのような関係があるのでしょう?

そこには愛の不思議、血の不思議、運命の不思議を感じずにはいられない、ある物語が隠されているのです。

寄り添った二つのAのうち、一つはこの人物、イギリス国王アルバートエドワードのイニシャルです。

そしてもう一つのAは美貌のデンマーク王女アレクサンドラのイニシャルです。

この二人は1863年に結婚をします。

そう、この美しいクラバットピンは二人の結婚記念ジュエリーです、二つのAは二人のイニシャルであるAだったのです。
このクラバットピンは二人の結婚記念のジュエリーとして重要な人々に贈られたものです。

左右のクラウンのイラストは、1が聖エドワードのクラウン、2がテューダー朝のクラウンです。中央はこのクラバットピンのクラウンの装飾の拡大です。

イギリス国王アルバートエドワードの結婚式ですから、1の聖エドワードのクラウンが使われていそうですが、このクラバットピンには2のテューダー朝のクラウンが使われています。テューダー朝は二人が結婚した1863年よりも約400年も昔の王朝です。
何故、この二人の結婚にテューダー朝のクラウンを選んだのでしょう?

実はこのテューダー朝のクラウンはこの二人の先祖が誰であったかを示しています。それは、最初にご紹介したテューダー朝初代イングランド王ヘンリー7世、
ヘンリー7世はこの二人の13世代前の共通の先祖だったのです!

これは、このクラバットピンに聖エドワードの王冠が使われておらず、テューダー朝のクラウンが使われていたことから、二人の家系図を過去へ過去へとさかのぼって調べて分かったことです。

その家系図には沢山の名前が記されていました、その一つ一つにそれぞれの人生があった事を想像しながら膨大な人生の記録に圧倒され、その中の一つの名前でも欠けていたら、この二人の結婚は存在しなかったことを感じました。

まるで運命という木から沢山の枝が分かれているような家系図に愛の不思議、血の不思議、運命の不思議を思いました。

そしてこの不思議は、この二人だけに関係することではなく、自分の身にも置きかえて考える事が出来るのです。例えば、私の、皆さんの先祖が一人でもかけていたら、私達は存在しないのです。

奇跡を感じます。